
青色申告って難しそうだし、いきなり65万円控除は無理かも…
そんなふうに感じている方におすすめなのが、青色申告の10万円控除。帳簿もかんたんな単式簿記でOK、提出書類も少なめなので、初めての確定申告やズボラさんにもおすすめです!
- 10万円控除ってなに?
- 10万円控除に必要な書類
- 現金出納帳の作り方
- 10万円控除の青色申告決算書の書き方
画像つきでわかりやすく解説していきます!
1. 青色申告の10万円控除とは?65万円控除の違い


10万円控除とは、確定申告の青色申告の控除額のことで、青色申告には大きく2種類の控除があります。
| 控除額 | 必要な帳簿 | 特徴 |
|---|---|---|
| 65万円控除 | 複式簿記 総勘定元帳など | 節税効果大! |
| 手間も多い | ||
| 10万円控除 | 簡易簿記 (現金出納帳など) | 節税効果小 |
| 手間が少ない |
65万円控除の方が節税効果は高いのですが、複式簿記をつける必要があり、簿記の知識が必要になります。
帳簿付けが簡単な白色申告もありますが、より節税効果のある青色申告10万円控除の方がおすすめです。


【青色申告で10万円控除を受けるための申請方法】
- 青色申告承認申請書を「簡易簿記」(10万円控除)で提出
- 青色申告承認申請書を「複式簿記」(65万円控除)で提出していても65万円控除の要件を満たさないと自動的に10万円控除になります。
※青色申告承認申請書は開業後2ヶ月以内に提出が必要です。途中から青色申告に切り替える場合は、その年の3月15日までに提出が必要です。
青色申告承認申請書の書き方はこちらの記事にまとめています↓


2. 青色申告10万円控除はこんな人におすすめ!
- 開業1年目でまだ経理に自信がない
- 帳簿付けする時間がない
- 会計ソフトを使う自信がない
- 売上が少なく65万円控除の恩恵が小さい
- とりあえず簡単に済ませたい!
- 青色申告で出す予定だけど、帳簿付けが不安…
1つでも当てはまる人はまずは10万円控除で確定申告してみましょう。
3. 10万円控除に必要な帳簿・書類


青色申告10万円控除に必要な帳簿は以下の通りです。
| 必要な帳簿 | 備考 |
| ①現金出納帳 | 現金の入出金を日付ごとに記録(Excel・手書きOK) |
| ②売掛帳 | 売上の発生・入金時に記録 |
| ③買掛帳 | 仕入の発生・支払時に録 |
| ④経費帳 | 経費を使った際に記録 |
| ⑤固定資産台帳 | 10万円以上の備品がある場合 |
確定申告で添付する青色申告決算書はこれらの帳簿の数値をもとに作成します。そのために日々帳簿をつけることでお金の流れが把握できるようになります。
帳簿は確定申告で添付不要ですが、7年間保存が必要です。
① 現金出納帳
現金出納帳はおこづかい帳 + 勘定科目のレベルでOK!
お金を「何に使ったか」「どんな収入か」を分類するためのもの。1つの取引ごとに勘定科目をつけておき、勘定科目ごとに金額を集計して、確定申告書に添付する「青色申告決算書」に記入します。
例)消耗品費、旅費交通費、通信費、水道光熱費、仕入高、売上高など
【現金出納帳を記録するタイミング】
- 現金売上・現金仕入があった時
- 経費を使った時(経費帳へも記録)
売上・仕入はお金をいつもらうかで扱いが変わります。
- その場でお金をもらう / 払う → 現金売上 / 現金仕入
- 商品を渡してお金は後でもらう / 払う → 売掛 / 買掛
▶ 現金出納帳の書き方・記入例(エクセル)
下記は私が実際に青色申告10万円控除した時に作成していた現金出納帳です。


【現金出納帳の書き方】
- 月ごとにシートを分ける
- 月末で締めて現金残高が合うか確認
- 翌月分は次ページに繰り越す
- 10万円控除なら「勘定科目」は必要!(消耗品費、通信費、仕入など)
- 「何に使ったか」を摘要欄に書いておく



記事の一番最後で現金出納帳のエクセルのテンプレートをプレゼントしています。無料でダウンロードできるので使ってくださいね。
②③ 売掛帳・買掛帳
- 売掛・買掛が発生した時に記録(請求書発行・受領時)
- 入金・支払時も記録
- 取引先ごとに残高がわかるようにしておくと残高の管理がしやすい
▶ 売掛帳・買掛帳の作成方法を具体的に紹介(執筆中)
④ 経費帳
経費が発生したタイミングで記録しましょう。
- 現金払い → 現金出納帳も記録
- カード払い → カードの引落時に預金出納帳も記録
- 口座引落 → 預金出納帳も記録
会計ソフトを使っている場合は1度の記録で連携した帳簿にも自動で反映されます。
▶ 経費帳のサンプル(作成中)
⑤ 固定資産台帳
10万円以上の資産や消耗品を買った場合に台帳に記録します。
▶ 減価償却について(執筆中)
4. 10万円控除の青色申告決算書の作り方


- 確定申告書B
- 青色申告決算書
10万円控除でも「青色申告決算書」の提出は必要!
青色申告決算書は10万円控除・65万円控除で共通の書式になっていて、全部で4枚の構成になっています。
| 枚数 | 内容 | 10万円控除では? |
| 1枚目 | 損益計算書(売上・経費・利益) | 必要 |
| 2枚目 | 月別売上・仕入・給与 | 必要 |
| 3枚目 | 売上・仕入の明細・減価償却 | 必要 |
| 4枚目 | 貸借対照表 | 提出不要 |
10万円控除で確定申告する人は、Excelや手書きで帳簿をつけているケースが多めですが、決算書も印刷して手書きでもOKです!
PDFはここからダウンロードできます ↓
パソコンを使うなら、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」でも損益計算書が作れます。
【青色申告決算書の作成に必要なもの】
- 売上の合計金額
- 仕入の合計金額
- 経費の合計金額
この3つを各帳簿から収集します。次の作成手順を参考にまずは書いてみましょう◎
5. 青色申告決算書の作成手順




※以下の説明で出てくる①~㊺の番号は青色申告決算書に記載されている番号を指しています。
A. 売上を集計
- 現金売上:現金出納帳から集計
- 売掛金:売掛帳から集計
【1枚目・2枚目のA欄】2枚目の月別売上に集計 → 合計金額を1枚目の売上収入①に記入すればOK!
【3枚目のA欄】売上額の大きい順に会社名、住所、インボイス番号、年間売上額を記入します。
B. 仕入を集計
- 現金仕入:現金出納帳から集計
- 買掛金:買掛帳から集計
※外注費を買掛金に入れている場合、外注費は経費になるのでここでは除外しましょう。
【1枚目・2枚目のB欄】2枚目の月別仕入に集計 → 合計金額を1枚目の仕入金額③に記入すればOK!
【3枚目のB欄】仕入額の大きい順に会社名、住所、インボイス番号、年間仕入額を記入します。
【1枚目の②期首商品棚卸高、⑤期末商品棚卸高は何を書けばいいのか?】
仕入は使ったもの、売ったものしか経費にできない決まりです。経費を増やしたい!と言って年末にたくさん仕入れて経費を増やしたくなりますが、売れていない在庫は経費にはできません。
- ②期首商品棚卸高:昨年の在庫で昨年仕入高から引いていたもの
- ⑤期末商品棚卸高:今年仕入れたけど在庫で残っているもの
を記入していくと、その年の仕入高⑥ = 期首商品棚卸高 + 仕入金額 – 期末商品棚卸高になります。
⑦差引金額 = 売上① – 仕入高⑥の金額
C. 経費帳を集計
経費帳から科目ごとに集計して【C欄】に記入していきましょう。
専従者以外の従業員への「給料賃金」は【2枚目のC欄】にも記入しましょう。
D. 専従者給与を集計
専従者給与(生計を1つにしている15歳以上の家族への給料)は、C欄の給料賃金には書かずに【D欄】に記入しましょう。
E. 青色申告特別控除額
1枚目、2枚目両方に【100,000】と書きましょう。ここを書いてないと10万円控除にしてくれないので注意です!
その他
1枚目の補助番号㉝、㊷、㊸、㊺には計算した数値を忘れず記入しましょう。
6. e-Taxで提出する場合の注意点


パソコンで国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で入力した場合、印刷して税務署へ提出するか、e-Tax(電子申告)する方法があります。
【e-Taxを利用するときの注意点】
- 利用者識別番号が必要(なければ取得)
- マイナンバーカードまたはID・パスワード方式
- 帳簿の添付は基本不要(保管のみ)



e-Tax提出時に利用者識別番号がわからなくて困った経験があります!
その時の体験談はこちら ↓


7. 次年度に向けてレベルアップ!
10万円控除は簡単ですが、節税効果は65万円控除に比べて小さめです。だからこそ、
- 今年は「申告に慣れる」ことが目標!
- 来年は帳簿を頑張って65万円に挑戦!
と、ステップを分けて考えるのがおすすめです。


会計ソフトを使うだけで効率化・節税面でもおすすめです。
- 各帳簿を手書きするよりラク!
- 現金出納帳に記録すると、経費帳にも自動で反映してくれる
- 電卓をたたく必要がない
- 会計ソフトはほとんどが複式簿記対応なので、慣れていけば65万円控除にステップアップ!
複式簿記には簿記3級程度の知識が必要ですが、知識がなくても操作に慣れていけば「こんな感じなんだな」と理解できるようになるので、一度使ってみるのがおすすめです。
私が使っているのはマネーフォワードクラウド確定申告で、10万円控除していたころに比べると作業時間は1/10に効率化できるようになりました。


まとめ
青色申告決算書は難しそうに見えますが、売上・仕入・経費の合計がわかっていれば手書きでも作成できます。10万円控除で提出するなら、
- 青色申告決算書の1~3枚目を
- 手書きするか
- 国税庁のサイトで作って提出すればOK!
むずかしい知識がなくてもOK!画面に出てくる案内通りに数字を入力していきましょう。
会計ソフトを使った方が時短ではありますが、Excelと電卓があればちゃんと申告できます!
おまけ:現金出納帳テンプレート(Excel)
- とにかく手間を減らしたい!
- Excelを一から作るのが負担
という方のために、現金出納帳のExcelテンプレートを無料でプレゼント!
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※自由にカスタムして使ってくださいね。



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