「確定申告」って聞いただけでちょっと憂鬱…そんなあなたに、青色申告と白色申告の違いをやさしく解説します!
白色申告・青色申告とは、納税する所得税額を決めるための確定申告の申告方法のことで、結論、青色申告の方がお得です!
【白色申告と青色申告の違い】
| 項目 | 白色申告 | 青色申告 |
| 手続きの手間 | 少なめ | ちょっと多め |
| 帳簿のつけ方 | 簡単な記録でOK | きっちり帳簿管理 |
| 節税メリット | ほぼナシ | 特別控除アリ |
つまり、
- 白色申告:気軽!でも節税効果はナシ
- 青色申告:手間はかかるけど、節税メリット大!
事業の利益がちゃんと出ているなら青色申告一択です!
- 白色申告・青色申告との違い
- 白色申告・青色申告のメリット・デメリット
- 青色申告はどれくらい得なのか
- 青色申告はどうやるのか
あなたにとってどっちがお得なのか、個人事業主の経理を10年以上勤めている私がわかりやすく説明します。
1. 白色申告・青色申告とは?
個人事業主は、毎年2月16日~3月15日に行う確定申告で「昨年1年間でこれだけ売上、経費、収入(所得)がありましたよ!」と申告する必要があって、申告した所得によって税金が決められます。(所得税のこと)
売上 ー 経費 = 所得
所得 × 所得税率 = 所得税
はた坊所得が増える = 税金も増えますが、確定申告の申告方法によっては所得を最大65万円差し引くこと(控除)ができるんです!所得が下がる = 税金も安くなるので65万円控除は節税効果大!
確定申告の申告方法は3種類あります。
- 白色申告
- 青色申告10万円控除
- 青色申告65万円控除
【白色申告・青色申告の違い】
| 白色申告 | 青色申告 | ||
| 10万円控除 | 65万円控除 | ||
| 事前申請 | 不要 | 必要(開業後2ヶ月以内) | |
| 提出書類 | ・確定申告書 ・収支内訳書 ・各種控除に関する証明書 | ・確定申告書 ・青色申告決算書(10万円は貸借対照表不要) ・各種控除に関する証明書 ・その他(補足書類など) | |
| 書類の保管期間 | 5年間 | 7年間 | |
| 記帳方法 | 単式簿記 | 単式簿記 | 複式簿記 |
| 特別控除 | なし | 10万円 | 55万円(e-Taxで65万円) |
| 家族給与を経費 | 上限あり | 上限なし | |
| 赤字繰越 | 不可 | 3年間 | |
| 30万以下の資産を一括経費 | 不可 | 可能 | |
確定申告で「確定申告書」を提出しますが、白色申告なら収支内訳書、青色申告なら青色申告決算書を一緒に提出します。
青色申告の事前申請を開業2ヶ月以内に行っていないとその年は白色申告しかできません。
2. 白色申告のメリット
白色申告は事前申請も必要なく、単式簿記(家計簿みたいな帳簿)でよいため青色申告に比べると簡単に記帳ができます。
ただ、昔は所得300万以下なら帳簿保存も必要ありませんでしたが、平成26年から帳簿保存が義務になり、白色申告のメリットは減ったように思います。
青色申告者については、一定の要件を備えた帳簿書類を備え付け、記録し、保存するよう定められていますが、白色申告者に対しても、記帳制度や記録保存制度が設けられています。
また、確定申告書を提出する場合には、総収入金額や必要経費の内容を記載した書類(収支内訳書など)の添付が必要になります。
(1)記帳する必要のある方/(1)帳簿などの保存が必要である方
出典元:国税庁HPより
3. 白色申告のデメリット
白色申告は帳簿付けが簡単な分、デメリットもあります。
- 所得の特別控除なし
- 家族への給与に上限がある(配偶者86万円/その他家族50万円)
- 赤字の繰越ができない
帳簿付けが簡単な白色申告ですが、確定申告書に収支内訳書を添付する必要があります。


帳簿から数字を拾って収支内訳書を作成する必要があるわけですが一見、青色申告決算書と似ています。





10年以上青色申告(複式簿記)をしてきた私が初めて収支内訳書を見た時、青色申告とそこまで変わらないじゃん!ここまでするのに節税メリットが全くないなんてもったいなさすぎる!と思いました。
白色でも青色でも1年間の数字を集計するなら、会計ソフトを使った方が圧倒的にラク!
今までずっと白色申告してきたから慣れているし…、どうしても手書きじゃないと…、パソコンはどうしても無理…という方を除いては、会計ソフトを使って青色申告をした方が絶対お得です!
4. 青色申告のメリット
青色申告は白色申告に比べると少し手間がかかりますが、節税メリットがたくさんあります。
- 最大65万円控除
- 赤字の繰越が3年間できる
- 家族への給与を上限なしで経費にできる
- 30万円以下の資産を一括で経費にできる
- 信用力がUP!
①最大65万円控除
青色申告は最大で65万円控除できます。実際どれくらい節税できるのか、具体例を見てみましょう。
【例】所得300万円の場合
| 項目 | 白色申告 | 青色申告(特別控除65万円) |
|---|---|---|
| 課税所得 | 300万円 | 235万円 |
| 所得税 | 約16万円 | 約10万円 |
| 住民税 | 約24万円 | 約18万円 |
| 節税効果 | ー | 約12万円 |
※基礎控除のみを使った計算。その他の控除や扶養状況によって異なります。
青色申告にするだけで毎年約12万円も節税できるんです!
② 赤字の繰越が3年間できる
青色申告なら赤字になっても最大3年間繰り越すことができ、翌年以降の税金を減らすことができるんです。(純損失の繰越控除)
- 令和6年度:収入200万 – 経費250万 = 課税所得 -50万(赤字)
- 令和7年度:収入300万 – 経費200万 = 所得100万 – 50万 = 課税所得50万
白色申告(赤字の繰越不可)なら令和7年度は所得100万に対して税金がかかりますが、青色申告なら赤字を繰り越して50万円に対する税金になるので税金を減らすことができます。



青色申告なら一時的に苦しい年があっても、ムダにならず次に生かせるんですね。
③ 家族への給与(専従者給与)に上限がない
もし、家族が事業を手伝ってくれているなら…青色申告にして専従者給与を使うのが断然お得です!
専従者給与は、生計を一つにしている配偶者・親・子どもにお給料を出せば、全額を経費にできるんです!
- 白色申告の専従者控除:金額に上限があり、青色申告ほど柔軟性がない
- 青色申告の専従者給与:事前に届出を出せば働き方に応じた金額を全額経費にできる!



私も専従者として仕事を手伝い、年間10万円以上の節税になりました。
専従者給与はこちらの記事で解説しています↓


④ 30万円以下の資産を一括で経費にできる
通常10万円以上の資産を購入した場合は、資産計上する必要があります。資産計上した資産は数年にわたって分割して経費計上します。(減価償却)
青色申告なら10万円以上、30万以下の資産をその年に全て経費にできる少額減価償却資産の一括償却の特例が使えます。(年間300万円まで)
手間もなく、その年に経費にできるのでとても節税効果が高いですね。
⑤ 信用力がUP!
青色申告で毎年確定申告を続けていくことで「この人はちゃんと事業をやっている」という信用が積みあがっていきます。
- 銀行から事業資金を借りる時
- 補助金・助成金に申し込む時
- ビジネス用クレジットカードを作る時
こういった場面で青色申告をしていると、決算書(貸借対照表・損益計算書)から事業の透明性があると評価されやすくなります。
5. 青色申告のデメリット
青色申告はメリットがとても大きいですが、デメリットもあります。
- 複式簿記や決算書(貸借対照表・損益計算書)の作成が必要
- 青色申告承認申請書の事前申請が必要
- 帳簿の保存期間が長い(7年)



複式簿記は簿記3級程度の知識が必要ですが、最近はクラウド会計が進化しているので会計ソフトを使えばかなり軽減できますよ。
デメリットを差し引いても、節税効果の高い青色申告がおすすめです。
6. 青色申告するために必要な3つのこと


青色申告は節税効果が高いので大変そう…と身構えてしまいますが、大丈夫!実はやるべきことはたったの3つだけ。
① 開業届&青色申告承認申請書を出す
まずはこの2つの書類を税務署に提出しましょう!
- 開業届:開業から1ヶ月以内に提出
- 青色申告承認申請書:開業から2か月以内に提出
開業届の提出は義務ですが、提出しなくても、期限を過ぎてもペナルティは特にありません。
ビジネス口座開設や銀行融資、保育園の審査などで開業届の提出を求められたことがあるため、提出しておくのがおすすめです。
青色申告承認申請書は青色申告特別控除(65万円)を受けるために提出必須です!
開業届と青色申告承認申請書はMFクラウド開業届を使えば15~30分で作成できます!詳しくはこちらで解説しています↓




青色申告承認申請書を出したけど、「やっぱり今年は白色申告でよさそう」となれば、確定申告で青色申告用の書類を出さなければ白色申告に変更になります。 迷ってるならとりあえず青色申告承認申請書を出しておきましょう。
② 帳簿をつける
青色申告では、日々の売上・経費を複式簿記で記録します。ここ数年でクラウド会計が便利になったので、思ったよりラクちん!
私はMFクラウド確定申告を使うようになってから圧倒的に時短できるようになりました!


③ 期限に注意する
確定申告の期限は毎年3月15日まで。間に合わないと、青色申告の特典が取り消されるので、早めに動きましょう!
7. 青色申告が向かない人はいる?


青色申告は本当におすすめ!それでも、向き・不向きはあります。
▶ 青色申告が向いてる人
- 毎月安定した収入がある
- 経費が結構かかる
- 帳簿作成もコツコツできそう
- 経理や仕事を手伝ってくれる人がいる



「どんどん稼ぐぞ!」って人には絶対オススメです!
▶ 白色申告でもいいかも?な人
- 副業レベルで少額収入だけ
- 経費もあまりない
- 帳簿管理に自信がない
- とりあえず一人でやっている
無理に青色申告を選ばなくてもOK。白色でも罰はないし、シンプルに確定申告を終わらせたいならアリです!
次年度から青色申告に変更もできるので、自分の状況に合わせて選ぶのがいちばん賢い選択です。
まとめ
青色申告と聞くと、難しそうで身構えてしまいますがメリットがたくさんあります。
- 青色申告と白色申告は確定申告の方法のこと
- 白色申告は簡単だけど節税効果がない
- 青色申告にするだけで年間12万円の節税!
- その他にも赤字の繰越、専従者給与など節税効果が高い
- 青色申告をするために必要なのは、①書類申請 ②帳簿作成 ③確定申告
- 青色申告には信用力・経営力アップのメリットもある
- 稼ぐ気満々なら迷わず青色申告
- 小規模スタートなら白色申告でもOK!



ちょっと難しそうだけど、チャレンジしてみようかな!
と思ってもらえたら、一緒に学んでいきましょう!



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