個人事業主になると、「これ、経費にできるのかな?」と悩むことがでてきます。
家賃、電気代、スマホ、インターネット代やガソリン代は、金額も大きいのでうまく経費にできれば節税効果も大きくなります。
プライベートと事業が混ざる支出は「全部経費!」とはいきませんが、きちんと家事按分(かじあんぶん)して仕事用に使った分については経費計上することができます。
- 青色申告の家事按分の基本
- 家賃・電気代・スマホ代・ガソリン代は経費にできるのか
- 家事按分するときの注意点
- 我が家のリアルな実例
- 家事按分の処理方法
- 他に経費にできそうなもの
について、個人事業の経理担当を10年以上担当してる私がわかりやすく解説していきます!
1. 【基本】家事按分とは?

家事按分とはプライベート・事業両方で使っているものを、仕事に使った分だけ経費にすることをいいます。
たとえば自宅で仕事をすることがある場合、以下のようなものはプライベート・事業の両方で使いますよね。
- 住居(家賃)
- 電気代
- スマホ・インターネット代
- ガソリン代
プライベートも兼ねている場合は全部を経費にするのはNGで「仕事に使った分だけ」を按分して経費に計上します。
- 具体的に「割合」を決める必要がある
- 按分の割合は、仕事に使っている面積や時間、使用頻度をもとに常識的な範囲で設定する
2. 家賃はどこまで経費にできる?

自宅の一部を事業で使っているなら、事業で使っている分だけ家賃を経費にできます。
- 自宅60㎡のうち、事業スペース10㎡ → 面積の割合:約16%
- 1日の事業に使う時間割合:50%
→ 16%×50%=約8%を経費にできる!
- 自宅80㎡のうち、在庫置き場 + 事業スペース20㎡ → 面積の割合:約25%
- 1日の事業に使う時間割合:50%
→ 25%×50%=約12.5%を経費にできる!
※物販では、「在庫置場=常に仕事用に占有」と考え、面積だけで按分割合を決めるケースもあります。在庫の占有スペースが広い場合は20~30%で計上するのも全然アリ◎
【注意ポイント】
- 家賃を50%以上経費にすると税務署から疑われやすくなる
→ 常識的な範囲で経費計上! - 半分以上が在庫で埋まっているなら50%計上も理屈上はOKだけど税務署から突っ込まれやすくなる。
(写真や図面で説明できるよう対策!)
▶ 持ち家の場合はどうなる?

うちは住宅ローンを払ってるんだけど、同じ考え方でいいの?
結論、住宅ローンの「返済額」は経費にできません。
- 住宅ローンの支払いは元金 + 利息
- 経費にできるのは「利息分だけ」!
- 元金は経費にできない
- 住宅ローン控除を受けている10年の間は利息分を経費計上すると住宅ローン控除が受けられなくなるため経費計上はやめたほうがいい
つまり、住宅ローンを払っている人の場合、住宅ローン控除が終わってから
- 毎月の支払のうち「利息部分」だけを
- 面積割合や時間割合に応じて按分
例)住宅ローン10万円のうち利息が1万円、在庫スペースが25% → 1万円 × 25% = 2,500円が経費にできる
持ち家の場合、固定資産税や火災保険料も事業用スペースに応じて按分して経費計上が可能です。
3. 電気代はどこまで経費にできる?


電気代(ガス・水道)も、事業に使った分だけ経費にできます。
たとえば、
- PC作業が中心 → 電気代の按分割合を少し高めに設定してもOK。
- エアコンを仕事時間中だけ使っている → その時間帯を按分するのもアリ。
全体の光熱費のうち、10〜30%を目安に経費にするケースが多いようです。
4. スマホ・インターネット代はどこまで経費にできる?


スマホやインターネット代も、事業で使った分だけ経費にできます。
- 仕事用の通話
- ネット検索
- メール
- オンライン会議など
仕事に使った割合をざっくり決めておきましょう。
- スマホ:仕事中心なら70~80%経費にするケースあり
- インターネット:自宅作業が多いなら50~80%を経費にするケースも
- 動画視聴・SNSが多い場合は家事按分を低めに設定するのが無難です。
5. ガソリン代はどこまで経費にできる?
仕事で使う距離・使用日数などで按分しましょう。
家と事業兼用の車でも事業で〇〇%利用と決めておけば経費計上は可能です。
- ガソリン代
- 自動車税
- 車検代
例えば、平日は事業だけで利用、土日はプライベートで利用というような場合は、7日間のうち5日仕事で使うことになるので70%を経費にできます。
6. 我が家の按分割合
一般的な例を説明してきましたが、我が家の実際の按分割合を紹介します。
- 夫の事務所は自宅と別場所にある
- 自宅では私が経理をするだけ
- 経理作業は週1、2回程度
実際の経費計上、按分状況は以下の通りです。
- 家賃:¥0
- 電気代:¥0
- 夫スマホ:80%(事業通話多め)
- 私スマホ:¥0
- インターネット:30%(週2回)
- ガソリン代:30%(週2回)
時間割するともっと少ないですが、家賃と電気代を計上していないのでヨシとしています。



税理士さんからもOKもらえました◎
7. やりすぎ注意!「常識の範囲内」で
生活で払っているものを経費にできるなら…と按分割合を高くしすぎると、税務調査で突っ込まれる可能性もあります。
税務署から指摘された時のために「按分割合の根拠」をメモしておきましょう。
- 間取り図に仕事スペースを書き込む
- 仕事時間をざっくり手帳に記録
6.家事按分の仕訳方法|実際どうやる?
帳簿上では「プライベート分を除いた金額」だけを経費に記録します。
例えば、家賃10万円のうち20%(2万円)を経費にする場合
- 経費にするのは「2万円」だけ
- 残りの「8万円」は処理しない
【処理のイメージ】
| 日付 | 勘定科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 4/1 | 地代家賃 | 20,000円 | 自宅家賃の事業使用分(按分20%) |
家事按分した内容や割合は、帳簿にメモを残しておくと安心です。
毎月同じ割合で処理するなら、年末にまとめて按分する方法もあります。
▶ 家事按分の計算ツール
家賃、電気代…何種類も毎月按分するのは「計算するのめんどくさい…」となりませんか?
そんな時は、会計ソフトの家事按分の計算ツールを活用するのがおすすめです!
マネーフォワードクラウド確定申告の場合、「家事按分」メニューで事業利用比率を設定すれば日々の仕訳は全額計上するだけで、決算時に自動的に按分してくれます◎


ツールを使う場合でも、按分割合の根拠は記録しておきましょう。


まとめ
- 家賃
- 電気代
- 通信費(スマホ・インターネット代)
- ガソリン代
は、自宅で働く自営業妻や個人事業主、フリーランスにとって大事な節税ポイントです。
【家事按分】で無理のない範囲で経費計上していきましょう!
【参考】按分できるかもしれないリスト
以下の支出も家事按分できる可能性があります。プライベート利用が多いものは割合を低めに設定し、常識的な範囲で按分しましょう。
| 費目 | 按分するポイント |
|---|---|
| 火災保険料 | 仕事スペースの割合 |
| プリンター代・インク・用紙代 | 仕事の使用割合 |
| 書籍・雑誌代 | 仕事に関連するなら可 |
| 消耗品(文房具・梱包材など) | 仕事の使用割合 |
少しでも節税のヒントになればうれしいです♪
▶ 白色申告の家事按分は青色申告とは違う!(執筆中)



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